出版業界の片隅で働く20代OLの読書備忘録です。
朝、少し早く家を出て、カフェで読書をしてから会社に向う。そんな余裕のある毎日が憧れ。
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『残り全部バケーション』
評価:
伊坂 幸太郎
集英社
¥ 1,470
(2012-12-05)

人生、まだ、続いていくから。裏稼業コンビ「溝口」と「岡田」をめぐる全五章。(「BOOK」データベースより)


伊坂さんの短編集。
爽快!小難しい感じよりも、サクッと読めるこんな感じがすごく好き。

裏稼業コンビの溝口と岡田。憎めない悪党なんですよね。
主人公が善ではないのに、ストーリーは善というか。
溝口はちょっとダメな奴って思ってたけど、最後の最後でかっこいいし。
岡田は、すごく愛おしい悪人かな。


(1)残り全部バケーション
これ、一番好きだったかなぁ。着地点が。
離婚前日の家族。今日で家族解散。そんな中、裏稼業をする岡田から「友達になりませんか」のメール。世間知らずの呑気な母の提案で家族揃って岡田の運転で最後のドライブに行くことに。岡田は、裏稼業の仕事を辞め、相棒で先輩の溝口と別れた直後だった。

明日から全部バケーションだね。って寂しい響き。
「レバーをドライブに入れておけば勝手に前に進む。自然と前には進んでいくんだよ。」


(2)タオキン作戦
伊坂さんっぽい!!って一番ぎゅんぎゅんしたのはこれかな。
悪が、悪を退治して、男の子を助けちゃう。悪らしくない悪っていうのがすごく好きです。
作戦準備中のドキドキ感と、だんだん作戦内容がわかってきたときの「あ、そういうことか!」っていうワクワク、実行後の爽快感。全部好きだったな。


(3)検問
岡田が足を洗ったあと、溝口がコンビを組んだ太田が登場。ストーリーは、この2人につかまった女性目線。「残り全部バケーション」もそうだけど、伊坂さんが描く女性目線の展開って珍しい気がします。そんなことないかな?
この短編集の中では、ちょっとダークなお話ですね。


(4)小さな兵隊
岡田が好きだ!って思ってたから、子供の頃を描いてくれて嬉しかった。岡田が小学校4年生の頃のお話です。
岡田の同級生という映画監督に、溝口の新相棒・太田が取材に行き、聞いてきた話。
さらにこの話から、当時、岡田と溝口がすでに出会っていたことがわかる。こういう繋がりって嬉しい!
ここではわからないけど、次の『飛べても8分』での「太田に調べさせたら、たまたま分かった。出会った時から数えれば、二十年近くでね」という溝口の発言からわかります。ここに出て来るキーパーソン”アドバルーンの男”は溝口ですね。


(5)飛べても8分
クライマックス!溝口がかっこいいラスト!
岡田を始末した毒島(ぶすじま)さんへの復讐が、溝口の目的だったんですね。
最後は結果がわからないまま、プツッと線が切れるように終わる。歯切れの悪さはないです。岡田が無事で、別の人生を歩んでいることも明かされたからかな。後味はスッキリ。

とても力強い、溝口の言葉。
「いいか、とんでも八分、歩けば十分、メールは一瞬。だとしても、飛べるなら飛ぶべきだ。そんな経験、しなきゃ損だろうが」
 
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